マイクロプリムまとめ

Haruka

2015年12月24日 02:13


 こちらの記事は、セカンドライフ技術系 Advent Calendar 2015 への寄稿記事となります。

 さて、メガネ教室でメガネの作り方を教えるにあたって避けて通れないのが、「マイクロプリム(タイニープリム、プリムトーチャーとも)」とよばれる技法です。
 これまで教室では、実際にインワールドで手を動かしてプリムを操作して学ぶことを重視してきたため、こういう技法をWebに掲載するということはしてきませんでした。
 しかし、教室開催からかなりの年数が経ち、SLものづくりの主流が通常プリムからスカルプ、メッシュへと移行しつつある今、勿体をつけてる場合じゃない。こんなことはさくっと学んでどんどん次へ進んで行く必要がある。……ということで、今回ここにまとめてみました。

 何故マイクロプリムか?
 言うまでもなく、通常の手法ではプリムの大きさを0.01mすなわち1cmまでしか縮小できないからです。メガネやアクセサリなど、アバターが身に着けるものはもっと小さいパーツで作りたい。ということで生まれてきたのが、

「プリムのパラメータを工夫して、見かけ上の大きさを実際の大きさよりはるかに小さくする方法」

すなわち、マイクロプリムなのです。(タイニープリム、プリムトーチャーとも)

 下の写真は、いずれも教室で作り方を教えてきたマイクロプリムで、技法としてはポピュラーな部類です。


"microprim_000" ORIGINAL UPLOADED BY regicat.

 ・極薄板状プリム
 ・極小ピラミッド
 ・極小スフィア
 ・極細リング
 ・極細円柱
 ・極小タブレット

 具体的なパラメータ操作は本日中に追記に掲載しますので、プリムの基本的な編集操作は知ってるけどマイクロプリムは知らない、という方は、ぜひご自分で作り方を見つけ出してみてください。勿体つけてる場合じゃないと言ったそばからあれですが、自分で試行錯誤しながらプリムの変形方法を編み出すと技術もセンスもばーんと上がりますよ(実話)。
 お待たせしました。日付が変わってしまいましたが、回答編です。各SSのマイクロプリムは、見かけの大きさに関わらず、数値上の大きさはデフォルトの0.5m立方。半透明のプリムは同じ大きさのデフォルトプリムです。
(一時Flickr上の写真を非公開にしていたためか、ソラマメのメニューから自分のFlickr写真を検索できなくなってます。復帰したら個別の記述ごとに写真を埋め込みますので、とりあえずこちらからご覧ください。
https://www.flickr.com/search/?user_id=20897154%40N07&sort=date-taken-desc&text=microprim&view_all=1

 ・極薄板状プリム→スライス

 スライス(Slice)パラメータでZ軸(上下)の厚みを削ります。開始は下から、終了は上から削れていって、終了と開始の差分が最小0.02になるまで削ることができるので、開始を0.49、終了を0.51にするとちょうど真ん中あたりに板が残ります。もちろんここからプリム自体のサイズ変更が効きますので、最終的には紙のように薄い板を作ることができます。
 プリムの形をシリンダーやプリズムにすれば、円形や三角形の板を作ることも可能です。

 ・極小ピラミッド→テーパー、スライス

 ボックスプリムのテーパー(Taper)をX,Yとも最大値(1.0)に設定するとピラミッド型になります。この状態でスライスの開始を最大値(0.98)に設定すれば、プリムの下部が最大限削れて、ピラミッドの頂点部分だけが残ります。これも板と同様、プリムタイプを変えて円錐・三角錐を作れます。

 ・極小スフィア→中空、テクスチャ、ひねり
 スフィアに中空(Hollow)を設定して中心部に球形の空洞を作り、そこだけ表面のテクスチャを不透明のまま残し、それ以外の面はすべて透明度100%に設定しています(透明のテクスチャを貼っても可)。ただし、それだけだと光の当たり方(影のできかた)が球形ではなく球形のくぼみに対するものになるので、球としては不自然な陰影になってしまいます。
 そこでひねり(Twist)の開始・終了にそれぞれ180度を設定すると、くぼみが裏返しになってきれいな球形に見えるようになります。
 同様にボックス・シリンダーに中空を利用することで細い円柱や四角柱が……と言いたいところですが、残念ながらシリンダーやボックスのひねりパラメータはひねりの軸が中空の中心であるZ軸と同じため、ひねっても軸の周りを回転するだけで裏返ったようには見えません。

 ・極細リング→穴寸法
 トーラスプリムの穴寸法をX,Yとも最小値にすると、ドーナツ状の形が細いリングのようになります。

 ・極細円柱→穴寸法、中空、プロファイルカット
 そこで、細い円柱を作るために使うのがこの手法。チューブタイププリムの穴寸法(Hole Size)Yを最大にすると中央の穴がふさがり、中空を最大にすると内部が空洞になりますが、ふさがった穴の箇所は細い円柱となって残ります。さらにプロファイルカット(Profile Cut)で上下の円盤状の部分を削ってしまえば、細い円柱だけが残るという仕組みです。

 ・極小タブレット→穴寸法、中空、プロファイルカット
 極細円柱の応用編です。プロファイルカットで円柱の長さも最大まで削り、さらに穴寸法のXを小さくするとプリムの厚みが薄くなります。最小値(0.05)まで小さくすればその状態でもう、数値上はデフォルトサイズでありながら見かけは小さな錠剤)(タブレット)のようになります。これはマイクロプリムの中でもほとんど最小の部類です。

 これ以外にもまだまだ、小さなプリムを作る手法は存在します。決められた形という制限の中から工夫して新しい形を生み出すのは結構楽しいですよ。
 Yooma Mayoさんの不思議な世界観の造形展示や、細かい細工が身上の眼鏡屋Airさん(オーナーASLANさんもまた、教室出身者です!)の初期のモデルなど、通常プリムだけで驚くべき形を作り上げる例もたくさん存在します。たまには通常プリムで遊んでみませんか?
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